さようなら、ありがとう花岡小学校
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みんなの事を思って作った曲をプレゼント。
 その後も花岡小とのメールや手紙での交流は続きました。その中で「道内では毎年20〜30校は閉校になっているが、比較的人数の多い学校は校歌などをCDにしているところがありとてもうらやましく思っている」という話を耳にしました。自分が通ったわけではない遠い地の小学校が無くなってしまう寂しさを共感し始めていた僕達。そんな中、花岡のみんなの事を思って曲が2曲出来たのです。以下はマネージャーT氏がまとめてくれたその2曲の解説です。『1曲は「みんなこども」。93年の歴史、お兄ちゃん、お姉ちゃん、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、ひょっとしたらひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんも通った学校。ここではみんなが元気な子どもだったのです。澄み切った北海道の青空の下、校庭を元気に走り回る子ども達をイメージした明るい曲です。もう1曲は「まなびやとおく」。93年の間、花岡小学校は学び舎であったばかりではなく、近所の皆さんが集まる集会所、談笑の場であった事でしょう。また災害時には生命を守る避難場所であったかもしれません。そんな学校が消えるにあたり、感謝・想い出・惜別・涙・・・などの気持ちを曲にしました。』じゃあこの2曲を花岡のみんなにプレゼントしようよということになり、改めてレコーディングし、手焼きのCDをX'masに間に合うように花岡に送りました。みんなとても喜んでくれたようでした。その後M先生から「’04年の2月29日の閉校式に出席して演奏してもらえないだろうか?」とのメールが届いたのです。
 そんなわけで2度目の北海道なのです。今回ははじきよ2人とマネージャーT氏に加え、北海道でお世話になっているスタッフOさんも一緒です。今回の北海道ツアーの段取りを全て決めてくれた方です。昼間に札幌のCDショップでのインストアライブを終えた僕達は、そのまま列車に乗り込みM先生が迎えにきてくれているという苫小牧の駅に向かいました。一面真っ白い雪景色ではあるものの、思った程寒くない、いや、暖かい冬の北海道です。まだ一度もカイロもマフラーも使ってないし、隣のダウンを羽織ったT氏はダラダラと汗を流しています。う〜ん、こんなはずじゃ・・・。そんな事を考えていたら、あっという間に苫小牧に着いていました。そしてM先生との久々の再会。でもなんだか久しぶりな感じがしないのは、曲をレコーディングしている間中ずっと花岡の事を考えていたからでしょうか?
 鵡川町の子ども会のGさんが運転してくれるワゴンで、今日泊まる民宿に向かいました。そこも花岡小学校と同じ90年以上の歴史を持つ、とても趣のある民宿でした。部屋に1つずつ備えつけられているストーブは、自分で薪をくべる薪ストーブ。部屋にいると温泉に入った後のように、体の芯までじっくりポカポカと暖まってきます。そしてその夜は先生や閉校式で役員をされる方々が食事の席を設けてくれました。魚介類好きの僕にとってはたまらないメニューでした。その中でも感動したのが、ここ鵡川の名物「ししゃも」。近港で水揚げされた、本物の日本のししゃも。その甘いのなんのって。地元でも200円もする高級魚なのだそうです。先に鵡川は「山の中」といいましたが、実は海も川も近い自然環境バツグンの素敵な場所なのです。子ども達も海・山・川と元気に飛び回ってます。役員の皆さんともじっくりお話しでき、とてもいい時間を過ごしました。部屋にもどり、先だって花岡小の子ども達が送ってくれた絵手紙を読み返しました。改めて嬉しい気持ちでいっぱいになったとともに、大阪出身の僕が今ここにいるという「縁」の不思議さをかみしめながら床につきました。


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